※生徒持ち回り講義レポートです。第1回トーク講座は、とびたつばささんにお願いしました!(事務局)
みなさんこんにちは。とびたつばさです。先日のトーク講座ではえのきどいちろう先生からタメになる話をたくさん聞くことができました。今回は私とびたが、あの日学んだことをまとめさせていただくことになりました。どうぞよろしくです。
読者に「自分が言いたかったのはそういうこと!」と思わせるコラム
えのきど先生は良いコラムの正体をこのように表現しました。野球を見ていると「あのプレーはどうしてこうなったんだ?」「この試合はなんでこんな展開になったのだろう」のような、「なぜ」や「どうして」が浮かんでくることは珍しくないと思います。球場でたくさんの観客が同じことに対して疑問を持つ場面もあるかもしれません。
でもそのあいまいな状態の答えを、言葉にして誰かにして伝えるということはほとんどの人がしていません。そこにコラムのタネがあると、えのきど先生はおっしゃっていました。
えのきど先生は簡単なゲームを例にしてコラムの題材や本質を教えてくれました。
【ゲームの内容】
・答えを決める人とその人に質問する人、そして観客役と、参加者を3つに分ける(観客役はいなくてもOK)
・答えを決める人は、その場にいる人全員が知っているような人物をひとり思い浮かべる
・質問する人は答えを決めた人に質問をしていって、思い浮かべた人が誰か考える
・答えが分かっても言うのではなく、さらに確信に近づくような質問をする
このゲームを進めていくと「えっこの人は誰だ……?」と頭にハテナが浮かぶ瞬間と、「ああ分かった!あの人ね」と答えが分かってスッキリする瞬間があります。これをコラムに例えると、
・「えっ、これ誰だろう?」という疑問やモヤモヤ…コラムにすべき題材
・答えに一気に近づく核心を突いた質問…コラムで書くべき主張
みんなが疑問に思っている、けれどもモヤモヤして空気のように漂っていることに対して、「たぶんだけどこうなんじゃない?」と言語化して投げかける。そうすることで、「自分が言いたかったのはそういうこと!」という読者の共感を引き出すことができるというお話でした。
試合で注目すべきところをフレームで考える
講座の後半はえのきど先生が試合でどこに注目しているか、という話に。えのきど先生の独特かつステキな試合の見方が披露されました。何をコラムのテーマにすべきか、という話ですね。
えのきど先生は試合全体を1つのフレームに置き換えて説明してくれました。何対何で勝った、誰が打った、誰が抑えた、こういった試合の勝敗に関することはフレームの中心にあって、飽きるほど発信されている。だからこそ、試合の勝敗や本質とは関係ないフレームの四隅にあるところをあえて取り上げることで、自分だけの文章になります。「こんなの誰も関心持ってないよ…」なんて内容でも必ず共感してくれる人がいて、だからこそ狙い目なんだと話されていました。
例で挙がったのは季節、気配、光、陰、匂い、湿気……なんともえのきど先生らしい美しいチョイスだなと思いました。
ここからは自分の話になるんですけど、どうしても野球をずっと見ていると見る場所というか、試合の中で眺める場所がおんなじになってくるんですよね。慣れの部分もあると思います。
けれども野球をあまり見たことのない友人と球場に行ったとき、今までスルーしていたところに注目して驚かされることがありました。例えばグラウンドで踊っているチアガールやイニング間のイベント、応援グッズを身につけているお客さんとか。何度も足を運んでいる自分にとっては当たり前の光景も、人によっては新鮮に映るんだなあと感じた瞬間でした。そういった視点の違いにも、ヒントが隠されている気がします。
とりあえず書いてみる
講座の中でも書いてみることの大事さをえのきど先生は話してくれましたが、その後の懇親会の席でもその話をしてくれました。
「書けても書けなくても机に向かってください。書けなくて悩んでいる時間もクリエイティブなものだから」
「新人投手のように点を取られてもいい、たくさん打たれてもいい。つまんない原稿でもいいから書いてほしい」
とりあえず書くこと、何度もトライすることの重要性は、過去の文春野球学校でも長谷川先生や西澤先生も話していました。それは僕自身もめちゃくちゃ感じていることです。今回の講座でもタメになる話がたくさん出ましたが、それを実践することでさらに気づけること、身につけられることがたくさんあると思います。僕も書き続けます!
講座のおわりには、今年60歳を迎えられるえのきど先生に赤いバットがプレゼントされました。
スタッフの森田さんも29歳のバースデーおめでとうございます!
以上、第1回トーク講座のまとめは私とびたつばさがお送りしました。