※生徒持ち回り講義レポートです。今回は、sugaさんにお願いしました!(事務局)


 どうもsugaと申します。文春野球学校の生徒では最年長かもしれません。このたび、オギリマ サホ先生のトーク講座のレポートをさせていただきます。オギリマ先生は文春野球のカープコラムを担当されており、ここはカープファンの私がレポートするのがよいのではないか、と黒田さんにお願いさせていただきました。講座の雰囲気が伝わると幸いです。


 すでに学校サイトのブログで、ガロンさん、めぐみさんが講座の様子をアップされているので、そちらも確認させていただきながら、まとめます。


オギリマ先生はどんな人


 竹田編集長と村瀬校長による、オギリマ先生の紹介からスタート。「こういうイラストを描かれ、一風変わった原稿を書かれるすてきなお姉さんです。だから今日は、イラストのことも考えようという授業」との竹田さんの言葉に、やや不安になりました。「もしかしてイラスト講座になるの?絵は苦手だからなぁ」そう思いつつ、登場された先生を拍手でお迎えしました。


 先生は、昨年から文春野球でコラムを書かれ、見事セ・リーグ新人王を受賞されています。今年は監督をされています。(当たり前ですが野球の新人王でも監督でもないです。念のため)


 イラストレーターのオギリマ先生は文春野球でコラムを書かれるまで文章を書く仕事は若干やったことがある、という程度だった、とのこと。このあたりは、学校サイトのオリジナルコラムに経緯を書かれてます。また、中高一貫制の女子高で倫理を教える先生で、モンテスキューとかルソーとか教えるそうです。次第に生徒に顔バレ、カープファンであることがバレて、今年の巨人優勝で生徒からイジられたそうで。イラストレーター、コラムニストで倫理の先生と、とても多才な方です。


さすが現役の先生。ホワイトボード前の立ち姿がさまになります さすが現役の先生。ホワイトボード前の立ち姿がさまになります

イラスト付きのコラムの利点は?


 講座開始にあたり、先生から「今日のレジメは秘密です」と不穏なお言葉。テーマは文章かイラストか迷った末に「今回はイラストをメインにします」とのこと。「絵は描けないのだけど」と動揺しました。でも大丈夫。講座が終わってからわかったのですが「コラムを作るための」講座でした。似顔絵を上手に描くための講座ではなかったです。


 先生は、文春野球で(写真ではなく)イラスト付きコラムにされてますが「コラムのサムネイルは写真で出るが、違うもの(イラスト)で出ると、ほかと違っていいのではないか」ということがあるそうです。なるほど。確かにサイト内で目を引きますね。


 そして、イラスト付きコラムには写真と比べていくつか利点があるとのこと。ここから先生のイラストを使いながらの説明です。最初は「なぜ私たちは広島・九里亜蓮をフルネームで呼んでしまうのか」のときのイラストから。


https://bunshun.jp/articles/-/7260?page=2



「ぐりとぐらならぬ、くりとくらのバッテリー」と紹介するには、例の表紙と同じ構図の「九里と倉」が欲しいけど、そんな写真はない。イラストならできるわけです。ちなみに「ぐりとぐら」はこちら。


https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=62



 あと、イラストの中に一言添えることもできます。コラムに書けなかったことも書くことができる。「くりとくら」のイラストのコメントも、コラムの本筋から少し外れたコメントでした。


 続いて「広島・中崎翔太のむき出しストッキングとヒゲの相関性についての一考察」のイラストから。


https://bunshun.jp/articles/-/5932?page=2



 イラストでは中が3パターンありますが、「ありえない中崎」「レアな中崎」「本来の中崎」となっています。「ありえない」のは、本物の中崎はストッキングを出しているから。写真では撮れなくでもイラストなら再現できる、ということです。


 続けて紹介いただいた「考察・プロ野球界における『パンチパーマ』の流行と衰退」の中村奨成の髪型イラスト、「広島カープの同姓選手を見るとドンジャラがやりたくなる理由」のカープの平均的高橋顔イラスト、「帰ってきたカープの“永川さん”、勝てなかった時代の守護神のこれから」の永川勝浩の名球会入りイラストも同じ写真ではありえないもので、先生は妄想をイラストにされてます。


 竹田さんからも、オギリマ先生のイラストのメリットにコメントがありました。「オギリマさんの原稿は実はデータ主義。そのうえでのアウトプットがこれかい(バカバカしい)という面白さがある。原稿だけだったら論文のような堅い印象になってしまう。」とのこと。先生はコラムに関して「くだらない、アホくさい」と言われるのが嬉しいそうです。一方「イラストが似てない」と言われるとへこむとのこと。


 イラスト付きコラムの注意点の説明もあり「写真のトレースしたイラストはいろんな意味でNG」だそうです。写真を参考は参考にするけど、トレースしてイラストとすることはできない。もちろんトレースして練習する分にはOK。


「アメトークの絵心ない芸人」風のイラスト大会


 講座は進み、先生から「ここから実際に描いてみましょう」と指示が出ました。私はレポートすることになっていたので本講座を録音していたのですが、この指示が出たとき「マジかよ」という自分のつぶやきが録音されてました。ここで「絵が得意な人」を生徒に聞いたところゼロ。「苦手な人」はほぼ全員、という結果です。村瀬校長の「絵が苦手だから文章書いてるんだよね」という、もっともなツッコミがありつつ「絵心ない生徒によるイラスト大会」に移ります。


 村瀬校長のツッコミに関しては、先生が「文章を書けない、と言う人もいるけど、実際のところ文章は誰でも書いている。同じように絵が描けない、と言う人もいるけど、誰でも描けます。」と主張。先生は「自分も絵は下手で、オシャレなイラストコンペは落ちまくりです。」と生徒を勇気づけようとされます。


 イラスト大会は、共通のお題3つから1つを選んで描く、というもの。お題は「王貞治」「筒香選手」「ドアラ」の3つ。スマホを使うのは基本禁止、時間10分という2つのルールが発表されたときは、「えーっ」という声があがりましたね。学校で美術の時間をフルに使ってもまともな絵は描けなかったのに。選んだお題ごとにわかれて、イラスト大会のスタートです。描いたイラストは、全員が前に張り出して、いろいろコメントをいただきました。


 私は「王貞治」を選んだのですが、ジャイアンツのYGマークだけスマホで調べました。イラスト大会の結果は、文章より写真中心で紹介しますね。めぐみさんのブログの写真にもっとよいものもあると思います。


【王貞治部門】


皆さんが描いた王貞治 皆さんが描いた王貞治

 王さんを描くには「ホームベース型の顔」「丸い口」「ギョロ目」「一本足」という記号があるそうで、それを押えれば「王貞治」であることはわかります。なお、この王さんの記号についてオギリマ先生は、藤子不二雄先生が漫画「オバケのQ太郎」に描かれた「玉選手」が発祥ではないか、との説を唱えられていました。


 すいません、オギリマ先生と村瀬校長の描かれたイラストもあったのですが、写真撮り損ねてます(あと、森田さんも王貞治をちょっとオシャレに描かれてるのですが撮り損ねてます)。


【筒香選手部門】


皆さんが描いた筒香選手 皆さんが描いた筒香選手

オギリマ先生が描いた筒香選手 オギリマ先生が描いた筒香選手

 筒香選手は王さんより記号になるものがないので、シチュエーションや体型に注目がいくのではないか、とのこと。「メジャー行きたい」のセリフでわからせているイラストもありますね。先生のイラストのポイントは、帽子のつばがまっすぐであることだそうです。


【ドアラ部門】


皆さんが描いたドアラ 皆さんが描いたドアラ

なぜかいらっしゃっていた西澤先生が描いたドアラ なぜかいらっしゃっていた西澤先生が描いたドアラ

オギリマ先生が描いたドアラ オギリマ先生が描いたドアラ

 先生曰く「言う事ない。みんな上手い」。バク転のシチュエーションを使ったものも多い、とのこと。なぜかいらっしゃっていた西澤先生のドアラは、落合博満の奥さん落合信子がカチューシャつけてるものです。セリフ「生かさず殺さず温野菜」は落合信子が出てたCMのセリフだそうで、西澤先生の座右の銘、とのこと。ドアラを描きましょうのお題で、このイラストになるところが不思議です。


 先生はドアラのしっぽが好きで尻を描きたかった、とのこと。それで、このアングルのイラストになってます。


オギリマ先生より講座のまとめ


 最後にまとめっぽく先生からお話をいただきました。イラストを描くとき「記号を押える」ということがまずあるけれども、一人ひとり視点が違い、それが各人の切り口になるんじゃないか、とのこと。同じものを「描いてください」と言っても、尻を描きたい人、顔を描きたい人、シチュエーションを描きたい人などさまざまで、これはコラムに書きたいことのヒントにもなるんじゃないか。普段描かないものをどういう切り口で描くか、というのは、その対象をどう見ているか、ということに繋がっている、ということです。


「描けない、と言ってた人が多かったけど、味のある絵が多かった。皆さん、ぜひ描いてみてください」先生からのメッセージです。


オギリマ先生からの連絡事項


 文春文庫から出てるオギリマ先生著「斜め下からカープ論」、文庫本の割に720円は割に高額と思われる方もいるけど、イラストをカラーにしているからだそうです。文春野球のサイトにはないオリジナルのコラムも多数あるとのことで、オギリマ先生ファンの方、ぜひお手元に置かれてはいかがでしょうか。解説を書かれているのは、Numberにも連載をされている映画監督の西川美和さんです。帯にチュートリアル徳井さんのコメントがありましたが、例の事情でこれからは外れるのかもしれません。


最後に感想を


 私は絵心がないのでイラストを描こうと思ったことはありません。その割には、このたびの王貞治のイラストは「わりにうまく描けたな」と心で自賛してます。家に持ち帰り家内に見せたところ、なかなか好評でした。えのきどさんが「コラム上手くなりたければ、とにかくたくさん書くといいよ」とおっしゃってました。たくさん書くには、コラムのつくり方のバリエーションが多い方がよいのではないでしょうか。イラスト付きコラムは、そのバリエーションに加えられるのかもしれないなー、と思ったりしました。


 最後までレポートに目を通していただきありがとうございました。