※大山ゼミの講義編のレポート、今回は滝河あきらさんがお届けします!(事務局)


 みなさん、こんにちは。滝河あきらです。今回の大山くまお先生講座のまとめレポートは、私が担当させていただきます。

 実は私、今回が文春野球学校への初登校でした。事前に、事務局の黒田さんから「大山先生の講座のレポートを書いてほしい」と依頼を受けました。正直、初めての受講だし、上手くまとめる自信もないので、丁重に断ろう…と思いました。しかし、村瀬校長のコラムで黒田さんが「鬼」と称されているのを思い出し、怖くて断れず、このようにレポートを書くことになりました。


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 本編に入る前に、少しだけこの日の授業が始まる前の話。

 今回が初登校!ということで、私は勇んで名古屋の自宅を出ました。東京に向かう新幹線の中で、村瀬校長の「止めたバットでツーベース」のヤクルト芸術家の話を読み返しながら、「俺だってドラゴンズの選手なんだ…!」とよくわからない気合に満ちていました。


 麹町駅から地上に出たのが18時20分。ジャイアンツタイムばりに早めの到着。駅から会場に向かうと、文春の社屋が見えてきました。夕闇も相まって、要塞のように見える社屋の姿に怯みました。そして、緊張感が高まり、だんだん怖くなってきました。「俺なんかが、ドラゴンズファンの看板を背負えるのか? 名古屋230万人を代表して良いのか?」新幹線で読んだ本のせいなのか(失礼)、満ち過ぎた気合が、自身の思考を大げさに、そして悪い方向に持っていってしまいました。そして、気が付くと、私は文春社内のトイレの個室で膝を抱えて震えていました。時刻は18時50分。さすがにそろそろ行かなくては……。


 案ずるより産むが易し、とはよく言ったものです。野球学校の皆さまは、初登校の私を気さくに迎え入れてくださいました。ありがたいことです。


 前置きが長くなりましたが、ここからが講義の本編です!


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 19時15分開講。

 村瀬校長と竹田編集長が登壇。前日(9月8日)、台風が迫る中、元大洋の屋敷要さんのイベントが横浜で行われ、屋敷さんはスーパーカーで帰っていった、という小粋なトークを終えたところで、本日の講師、大山くまお先生が登壇。


 大山先生は、文春野球では中日ドラゴンズの監督を務めていらっしゃいます。

 出版社に12年勤めたのち、ライターとなって現在13年目。編集長まで経験したキャリアの持ち主。また、最近ではライター講座を開催するという活動もされているとのことです。

 そして、この文春野球学校も、大山先生のライター講座の発想をベースにしているそうです。大山先生無くして、文春野球学校無し、というところでしょうか。


 大山先生の紹介の後、今回初参加の生徒の自己紹介。

 今西健太さん、MAYUKAさん、私の3人。温かく迎え入れていただきました。あー、緊張した。


 ここから、今日のテーマである「インタビュー」について、話が始まります。

 講義内容は、ガロンさんが神ノートに丁寧にまとめていらっしゃるので、私自身が感じたこと印象に残ったことを中心にレポートします。



インタビューは簡単か?


「人とお話しするだけだから、インタビューは簡単だ、と思うかもしれないが、それは違う」

「まず、相手について、下調べをすること。聞きたいことを整理しておくこと。準備をしていかないと、インタビューの途中で頭が真っ白になることがある。これはキツい」


 大山先生はインタビューの難しさと、インタビューに臨む前の準備の大切さについて話されました。これには、村瀬校長も竹田編集長も大いに同意していました。

 ここで言う準備というのは、インタビュー対象のプロフィールを確認する、著書やブログを読む、出演作品を観る、などの調査をし、聞きたいことを整理することです。


 かつて大山先生は、ある弁護士に法律についてインタビューをしに行ったときに、その法律についての理解不足を弁護士に指摘され「帰れ」と言われてしまったことがあるそうです(直後に猛勉強をし、再取材して事なきを得たとのこと)。

 言われてみれば、自分の会社に「御社のこと良く知らないけど、プレゼンさせてください」という営業マンが来たら「帰れ」ってなるのと同じかなと思いました。インタビューでも仕事でも、事前準備は大事ですね。


「話を聞く」ことについて個人的回想


「話を聞く」ということについて、私自身の話で思い出したことがありました。

 数年前、同じ会社の『技術屋おじさん(工業高校卒の叩き上げ!)』に、「院卒のお前(滝河)なんかに、話すことなんて無いよ!」と言われたことがありました。しかし、その時は、仕事を進める上で、どうしても、そのおじさんの話を聞いて、おじさんの合意を得る必要がありました。

 そこで、上司や先輩に、おじさんのことをいろいろ聞いて、過去の仕事や趣味趣向を知り、「喫煙室でよくしゃべっているよ」という情報を得て、私は数年前に禁煙したタバコを片手に喫煙室へ入っていき、少しずつ話を聞いた、ということがありました。

 同じ会社の人に話を聞くのでも難しいことがあるのだから、違う世界の人に対して、内容の充実したインタビューをするということは、とても難しいことなのだなと、認識させられました。だからこそ、大山先生も村瀬校長も、準備の大切さを強く説かれていたのだと思います。


インタビューのテクニック


 インタビューを行う際のテクニックを紹介してくださいました。


・時間は意識して進めよう

 「相手の時間をいただく」ということを忘れないように。決められた時間で終えられるように進める必要がある。相手が多忙な場合は特に。

 なお、2019年4月10日掲載の大山先生による井端弘和さんへのインタビュー記事は、インタビュー時間は10分だったそう。たった10分で、この内容。プロのすごさを感じました。

 【参考】井端弘和が語る「与田監督のすごさ」と「ドラゴンズが優勝するために必要なこと」

 

・マストの質問を決めておこう

 「絶対に聞かなきゃダメ」という質問は、事前に準備して、絶対に聞くこと。

 インタビュー中に、話が脱線してしまっても、マスト質問に話題が戻るようにする。


・話が脱線してしまったら

 大山先生「相手の話を要約して、脱線した話題を終わらせて、次の利きたい質問に移る」

 村瀬校長「大きなリアクションで区切りをつける。『わっはっはっは!!…、では次の質問』という感じ」


・心を開いてもらう

 はじめは答えやすい「Yes/No」の質問をして、リズムを作り、その後「どうして」「どうやって」「なにを」などの質問をしていく。

 相手が話しやすい雰囲気を作るために、自分の話をするのは有りだが、話しすぎに注意。あくまで主役はインタビュー対象である相手。


・答えにくい質問こそ答えてもらう

 相手が答えにくいこと(失敗談、隠したいこと等)が、面白いことが多い。

 相手に気に入られようとするだけでは、インタビュー内容が薄っぺらになってしまう。

 竹田編集長「答えないとSNSで変な風に炎上するかもしれませんよ、という方法を使う」

 ……さすが文春さん。


インタビューは他人の人生に入り込む


 講義の中で大山先生は「インタビューは面白い」ということを何度もおっしゃっていました。

 インタビューをして、話を聞くことは、

  ・知らないことを知ることができる

  ・自分の思っていたことが裏返ることがある

  ・自分の中の世界が広がる

  ・モノを見るフィルターがアップデートされる

  ・思ったことを本人と答え合わせができる

  ・その人に人生に触れられる、人生に入り込める

 という、たくさんの魅力があるということでした。


「人に歴史あり」の言葉通り、人はそれぞれに様々な経験をしてきています。そんな様々な人生の一端を知り、新しい見識を得て、自分の世界を広げることが、魅力的なコラムの執筆にも繋がっていくのだと思います。


 また、私が個人的に感じたことですが、インタビューがうまくいくかどうかの要因の一つに、聞き手の性格/キャラクターもあるのではないかと思いました。「人生に入り込む」ほどのことをするので、相手が心を許してくれるような聞き手であることは、非常に大事でしょう。


 大山先生は、講義やその後の懇親会を通して、語り口が非常にマイルドで、包容力と懐の深さを感じました。もうこの人に抱かれても良い、とさえ思ってしまうほどでした(※私は妻子がおります)。村瀬校長も、大きな体と大きなリアクションで、「この人なら話してもいいか」と思わせるものを持っていると思います。

 充実したインタビューのためには、準備、テクニックとともに、人間力の向上も必要そうです。


インタビュー実習


 2人1組のペアで、相互にインタビューをするという実習。ペアの組み合わせは、大山先生と村瀬校長によるくじ引きで決定。

 インタビューテーマは「野球と私」。

 準備時間5分、インタビュー時間7分×2。


 はじめの準備時間では、文春野球学校のサイトで、相手の自己紹介やブログを読んで、相手のことを知り、聞きたいことを考えました。後から考えると、この時間が後のインタビューに大きく効きました。「相手のことを知り、そこから聞きたいことを絞り込み、話を聞いていく流れを考えていく」という経験をすることで、インタビューにおける準備の大切さを体感できました。


 実習を終えて、大山先生は「もっとまごつくかと思いましたが、皆さん、思ったよりも前のめりで取り組んでいただいたと思います」という感想を述べられました。インタビューが盛り上がったのは、きっと「野球」という共通言語があったからだと思います。(単に話したがりの集まりなのかもしれませんが笑)


 インタビューの内容は、各自が500〜800字にまとめて、後日、野球学校サイトのブログにアップするという課題が出されました。すでにアップされている方もいますが、まだまだアップされていくかと思います。楽しみです。


運営からの通達


 講義の最後に、サイト運営のキャンベルさんから、通達事項がありましたので共有します。


 1.自分の顔写真をプロフィール画像にしよう!

  「サイトはクローズな環境ですし、せっかくなので生徒同士、顔と名前が一致するよう、プロフィールの画像をぜひ自身の顔写真にしてください」とのことでした。

  私も写真準備中です。5年前の履歴書用の写真が見つかりましたが、今の顔とあまりに異なるので、他の写真を探しています。

 

 2.講義の様子を動画で配信

  この先、講義の様子を、野球学校サイトのイベントのページで、配信する予定だそうです。iPhoneアプリでは視聴できず、ブラウザのみで視聴可能だそうです。欠席した方はもちろん、出席した方も復習のために視聴できるのが嬉しいですね!


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最後に、私の所感です。


 普段、名古屋に住んでいると、ドラゴンズファン以外と話す機会が少なく、ドラゴンズファンと話をしても、近年は「弱い」「あの頃は良かった」と嘆いてばかり。そんな私にとって、文春野球学校は、本当に新鮮な場でした。


 思えば、こんなに多くのベイスターズファンに囲まれたのは、生まれて初めてでした。というか、よく考えたら、ベイスターズファンと直に野球の話をしたこと自体が生まれて初めて。スワローズファンと話すのも、ライオンズファンと話すのも、マリーンズファンと話すのも、ファイターズファンと話すのも、おそらく生まれて初めてでした。つくづく狭い世界で生きてきてしまったな、と思うのと同時に、自分の視野や世界が広がったと感じることができました。講義の中で大山先生が、人の話を聞くことは面白い、そして聞くことで自分の物の考え方や見え方をアップデートすることできる、とおっしゃっていましたが、まさにそのことを実感することができました。ひとえに、皆さまが温かく迎えていただいたおかげだと思っています。ありがとうございます。


 とても楽しかったし、勉強になったので、次回以降も仕事の調整次第ですが、また参加したいと思います。まだまだ、ゆっくりお話しできていない方もたくさんいらっしゃるので、お会いできるのを楽しみにしております。


 最後になりましたが、大山先生、貴重なお話、ありがとうございました。プロのノウハウやスキルの一端に触れることができて、とても刺激的でした。教えていただいたことを活かして、研鑽に励みたいと思います。

 また、村瀬校長、竹田編集長、黒田さん、森田さん、キャンベルさん、スタッフの皆さま、いつもありがとうございます。イベントもこのサイトも含めて、楽しくて学べる場を提供していただき、生徒一同(たぶん)感謝しております。これからもよろしくお願いいたします。


 レポートは以上です。ありがとうございました。